アルメニア人画家であり、戦後のフランス具象画壇で活躍する巨匠。
高いデッサン力に裏打ちされた、デリケートで繊細な線描の美しさ、
そして原色を避けた、淡淡しくも情を感じさせる色彩が特徴。
作品の主なテーマとして、『普段の日常をありのままに描く』ということが挙げられる。
画家本人も「私は私が見たものだけを描く」と語っている。
描くモチーフは踊り子、プロセッション(宗教行列)、闘牛士、マスカラード(仮面舞踏会)と変化したが、
素朴な人間たちの魂を追う、という普遍的な想いは変わることが無かった。
●祖国の悲劇
祖国アルメニアの迫害や虐殺という悲劇の歴史は、ジャンセンのその後の生き方に大きな影響を与えた。
2002年4月、アルメニア国立館にて大々的に「虐殺展」を開催。その功績が称えられ、国家勲章を授章した。
現在、主要作品の多くがパリ市美術館に所蔵されている。
ジャンセン芸術はフランス内外で高い評価がされており、近年では佳作の入手は大変難しい。
1920年 小アジア、アルメニアのソールーズで生まれる
1941年 アンデパンダン展出品
1944年 サロン・デ・チュイルリー、エコール・ド・パリ展、「時代の証人」展出品
1951年 民衆主義者賞受賞
1953年 アントラル賞受賞
1958年 サロン・デ・ジューヌ・バンチュールの会長に推挙
1959年 ブリュージュビエンナーレ展参加
1966年 国際形象展に招待出品(‘86まで19回出品)
1967年 モーリス・ガルニエ画廊(パリ)で「ヴェニス」展、以後展示多数
1978年 ギャラリー・マティニオン(パリ)で「マスカレード」展
1979年 ヨハネスバーグのザ・エペラッド・レード・ギャラリーで回顧録
1980年 ギャラリー・マティニオン(パリ)で「仮面シリーズ」展
1984年 フランコニーによりジャンセンカタログレゾネが出版
1993年 長野県安曇野に世界で初めての彼の美術館 「安曇野ジャンセン美術館」が開館
1996年 大丸アートミュージアム・東京にて“ジャンセン回顧展”開催
2000年 ギャラリーマティンオンで「mythologies」展開催
2002年 祖国アルメニアで「虐殺展」開催。その功績が認められ、アルメニア国家勲章授章
2003年 フランス レジオン・ド・ヌール勲章授章
2013年 8月27日、フランス郊外にて逝去。享年93
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黒いチュニック (1993) リトグラフ |
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ジャン・ジャンセン アトリエにて [Photo by Yerevan Magazine] |